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フォトエッセンス 入門・写真マスター講座 (4-3) ~ボケを操る(被写界深度)

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Posted by Velvia

2013年7月4日 公開

ボケを操(あやつ)る

主役以外をボカして主役を際立たせる

写真には「ボケ」と呼ばれる表現方法があります。この「ボケ」は、単にピントが合っていないボケた描写のことですが、意図的にボカした表現技法であり、これは英語で Bokeh と日本語名詞となっているように、世界共通の言葉です。

一般に言われる、ピンボケとは全く異なるものであり、「ピンボケ」とは、ピントを合わそうとして失敗してボケてしまったボケを指す言葉です。 単に「ボケ」とは、意図的に表現として行ったボケのことを指します。


被写界深度

ピントが合っているように見える?

ピントが合う距離は、カメラから、ある一点までの距離であり、これが変化することはありません。 しかし、次の写真のように、ピントが合っているように見える距離が、ピントを合わせた位置からの前後の範囲に見える ものがあります。

手前と奥は、ボケていてピントが合っていない

前後すべてのモノもピントが合っている?

上記の写真は、ピントを合わせている中央の被写体の前後にあるものにもピントが合っているように見えますが、実際には「ピントの合っているように見える範囲」であり、これを「被写界深度(ひしゃかいしんど)」と呼びます。


絞りで変化する、被写界深度

被写界深度は、様々な条件で変化しますが、もっとも自由に被写界深度をコントロールする方法として、絞りがあります。 絞りを開くと、被写界深度は浅くなり、絞りを絞ると被写界深度は深くなります。

また、前節 絞りと露出の関係(レンズのF値) でご紹介しているように、絞りを 1 段変えると光量が 2 倍または 1/2 倍になり、露出も変わります。

モードダイヤルを S または Tv の位置にする

そこで、絞りごとにどのように被写界深度が変化するのかを見てみましょう。実際に、ご自分でも試していただければより深く理解できます。

カメラと垂直にフィルムを盾に5つほど置いて撮影します。フィルムはそれぞれ、わずかに横にずらしています。

非常に浅い 被写界深度(非常に開けた状態)
ピントが合っている距離以外はボケている。絞りが開いているため光量が豊富なため、シャッター速度も高速(短時間)。

浅い 被写界深度(開けた状態)

深い 被写界深度(絞った状態)

非常に深い 被写界深度(非常に絞った状態)

すべての距離でピントが合っているように見えることを、パン・フォーカス と言う

被写界深度が非常に深くなり、手前にあるものから奥にあるものまで、ほぼすべての物にピントが合っているように見える事を、「パン・フォーカス」と呼びます。

ただ、上の図のように、パンフォーカスでは絞りがほとんど閉じているため光量が少なく、シャッター速度も低速(長時間)となります。

ミラーレスや一眼レフカメラでは、絞りを自在にコントロールしたり、より明るいレンズを使用することで、ピントの合焦している部分とボケている部分の差をコントロールする楽しみがあります。 絞りを開けることで被写界深度が浅くなり、より大きくボケるようになります。つまり、絞りを自由に変更するということは、ボケを操ることと同意なのです。


被写体から離れるほど、ボケにくくなる

ピントを合わせた位置(被写体の位置)がカメラより遠くなり、カメラから離れれば離れるほど被写界深度は深くなり、ボケにくくなります。

(許容錯乱円等の具体的な理由についてここで学ぶ必要はありません)


望遠で撮ると、よくボケる?

望遠で撮るだけではボケない

よく、「広角で撮影すると被写界深度が深く、ボケづらい。望遠で撮ると被写界深度が浅く、よくボケる」と言われますが、これは正確ではありません。

広角で撮影した場合、被写体とカメラの距離が長いことが多く、被写体とカメラの距離が長いほど被写界深度が深い理由から、ボケにくく見えるのです。

右の写真は、常に同じ絞り値 (F5.6) で、左図のように画角を変えつつ、被写体の大きさが常に同じになるようにカメラとの距離を調整しながら撮影したものです。(上から焦点距離 27mm, 52mm, 82mm)

絞り値は同じで、画角も違うのに、被写界深度に変化しありません。 (右写真中の①、②、③の箇所のボケの違いを比較してみてください)

これは、焦点距離(広角・望遠)の画角による被写界深度の差が、被写体との距離で相殺されているためです。

27mm, 52mm, 82mm の被写界深度比較

画角が違うのにすべて同じ被写界深度

(すべて F5.6 1/50秒 ISO200)

被写体との距離が同じなら、広角より望遠がよくボケる

上記のように、画角を変えるだけで、被写体との距離を変えてしまっては被写界深度は大きく変化せず、望遠だからといっても大きくボケることはありません。

上図の写真は、さきほどとは異なり、図のようにカメラと被写体の距離を固定し、焦点距離(画角)を変えて撮影しています。

広角で撮影したものは、当然被写体が小さくなり、望遠で撮影したものは被写体が大きくズームされています。

いずれも絞り値は同じ F5.6 ですが、明らかに望遠で撮影したもののほうが、大きくボケており、被写界深度が浅くなっているのがわかります。

つまり、被写体との距離が同じときに限り、広角よりも望遠にするほど被写界深度は浅くなり、大きくボケる ということが重要です。

転じて、広角レンズでも近寄れば、同じように大きくボケる ということです。

まとめると、「被写界深度を浅くして、大きくボカして撮りたいなら、絞りを開けて、長い焦点距離のレンズを使い、被写体になるべく近寄る」となります。

※被写界深度は、焦点距離と許容錯乱円の大きさで光学的に変化をしますが、ここでは詳しい説明は省略します。


一眼レフの方がボケる?

その通りです。

同じレンズ(35mm判換算を考慮しない同じ焦点距離のレンズ)を用いて、同じ構図で比較する場合、一眼レフよりも撮像センサーが小さいコンデジやミラーレスカメラは、焦点距離に対して画角が狭いため、下図のように、被写体から離れなければいけません。

前述でご紹介したとおり、固定された焦点距離であればカメラと被写体との距離(撮像センサーの大きさに反比例する比)が離れるほど被写界深度は深くなり、ボケにくくなるため、コンデジや、ミラーレスカメラより、焦点距離に対して画角の広い大きな撮像センサーを持つ一眼レフの方がボケるのです。

なお、一眼レフカメラでも代表的な APS-C 判と 35mm 判フルサイズの 2 種類の撮像センサーがありますが、当然大きな 35mm 判フルサイズ撮像センサーを持つ一眼レフカメラの方が、APS-C 判撮像センサーのカメラの方よりも大きくボケる写真を撮ることができます。

コンデジの焦点距離 25mm F5.6 で撮影
(35mm 判換算 120mm)

一眼レフの焦点距離 120mm F5.6 で撮影

上の写真のように、35mm 判換算距離で同じ 120mm の焦点距離で揃えて、同じ距離から撮影しても、やはり上記の理由により一眼レフのほうが被写界深度が浅いため、大きくボケるのです。

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