現代のモダンアーティストの多くは、自分の作品はどのように他人に見せるか、言い換えればどうプレゼンテーションすれば良いかを知っています。 それに習って、世界中の作家が、自分のお気に入り作品を美しく、その実物の魅力をそのままに写真とするために工夫を凝らしています。
日本では、ただものづくりをしただけで、その後に写真などで自分の作品をデコレートする考え方について遅れています。しかし、日本でも古くから庭園や盆栽といった芸術の中で、実は見るべき位置・方向、器や鉢、そして窓などで作品を演出して美しく見せる文化もありました。
特にインターネットの時代では、自分のハンドメイド作品を美しく見せる写真をいかに撮影するかといった撮影技術も、今や重要な才能とセンス、そして技術の作品と言われています。
この機会に是非、より自分の作品をデコレートする美しい写真づくりについてチャレンジしてみてください。
クラパカはもちろん、作品写真はいくつかの定まったパターン写真があります。パターンとは、作品をきちんと説明するためのものや、作品が使用されるシーン(シチュエーション)等具体的に紹介するイメージなどです。
具体的には、次の3つの写真を撮ることが基本です。
それぞれの写真の基本的なセオリーと、撮影する上での必要な要素、そして、やってはいけない点についてご紹介します。
作品の顔であり、作品をきちんと見せるための写真が、カバー写真です。
クラパカではサムネイルなどにも使用される、もっとも大切な 1 枚目の写真となります。
カバー写真は、様々な雑誌などで、いくつかの商品をまとめて紹介する時などにも使用されるような写真で、商品だけを極めてシンプルな背景でクックリと写し、余計なものを写さないのが基本です。
基本となる白背景のカバー写真
背景を黒グラデーションにしたカバー写真
基本となる白背景のカバー写真
作品は立体感を失わない程度に影を無くし、作品の細部がよく見えるようにします。また、作品をゆがめたり、誇張しないように望遠レンズで撮影します。
さらに、作品以外のものが写り込まないようにして、背景は単色(黒いものには白背景、白いものには黒背景)を基本とします。
表紙写真は、作品のサムネイル用としても使用されるので、左図のように画面中央に作品を置き、上下左右に 20% 程度の余白を考慮して撮影しましょう。
カバー写真は、余計なものを写さないとはいえ、下写真のように、主張しすぎない演出をすると効果的なものもあります。
作品だけ浮いて、背景や他の小物も邪魔しなければ、カバー写真としても良い
ただし、作品を中央付近に置くことが重要
小物としての雰囲気を出すための、演出小物も目立たない色合いで、大きくボカすことにより、作品の邪魔をしないので、カバー写真としても良い
作品の使用感や、購入した人が実際に使った場合のシチュエーションをイメージしてもらうためのものが、イメージ写真です。
実際に日用品として使うものは、使っている場面(シーン)を写したりするのが基本です。たとえば、アパレルであれば実際に身に着けている写真です。
イメージ写真は、シチュエーションを見せるためのものであると同時に、作品を際立たせるための演出した写真としても効果的です。
外で持ち歩いたときの雰囲気と共に、赤色を演出したイメージ写真
関連する小物と合わせて、実際に所有しているときのイメージ写真
作品を説明するのに必要な写真で、1枚でも複数枚でもあると良いものです。
「作品を説明する」とは、見た人に、作品の正面写真(カバー写真)からは、うかがえない部分の確認や、使用方法・使用勝手などを、写真を見るだけで伝えるためのものです。
カバー写真やイメージ写真では見えない、裏側を見せるための説明写真
作品の大きさを、人の手で持つことで説明するための写真であり、イメージ写真の両方の意味合いを持った写真
説明写真は、作品ごとに必要な枚数が異なりますが、左写真のように、一枚にわかりやすく複数の写真を並べて説明するのも有効です。
自分の作品を全く知らない人が、疑問に思うだろう部分、不思議に思うだろう部分、知りたいだろう部分とは何か をよく考え、その写真を的確に用意してあげることが大切です。
カバー写真やイメージ写真では見えない、裏側を見せるための説明写真
作品写真は、以上の「カバー写真(表紙写真)」「イメージ写真」「説明写真」の 3 点があれば十分となります。
元写真に、エフェクトをかけたり、文字を入れたりする事。(見る人は作品を見たいのであって、作品を加工したり、作品以外の文字などは悪印象になります)
写真にデコフレームをしたり、イラストをつけたりする事。(個性を主張するのは装飾などではせず、作品だけでしましょう。余計な装飾は総じて悪印象になります)
上記のふたつの写真は、やってはいけない作品写真の典型例です。その他、合成写真も悪印象であったり、トラブルの元となります。
特に、個性を見せたり、演出したがる人に多いのが、デコフレームや、文字を入れてしまうことです。これは、新聞に入っている折込の安売りチラシと同じようなものです。 作品写真は、作品名やデコレートされたのを見せるわけではなく、作者以外の人が「作品を見るため」に用意されているためです。作品写真には、余計なデコレートや作品のタイトルなどは絶対に入れないようにしましょう。 個性を出したい場合は、背景色や作品の見せ方のみで考えましょう。