
『スリー・ビルボード』のあらすじ(ネタバレあり)と感想と真犯人の正体についての考察、さらに無料動画の視聴方法をこちらでは紹介します。
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「スリー・ビルボード」は第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞、第90回アカデミー賞で主演女優賞、助演男優賞、第75回ゴールデングローブ賞で最優秀主演女優賞を獲得したヒューマンドラマ。
娘をレイプされ殺されたことで、今までは変わり復讐の鬼になり孤独に戦い続ける母親役のフランシス・マクドーマンドの演技が、圧倒的すぎるのでぜひそこに注目して観て欲しいです。
映画ファンの間でも大傑作と言われている作品で、2018年公開(日本公開は2018年)作品でベストワンに挙げる映画好きも少なくありません。
ちなみに「スリー・ビルボード」は直訳すると、「3枚の看板」。
主人公のミルドレッド・ヘイズが、娘が被害者の事件の捜査について警察を批判するために出した看板のことを指しています。
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映画「スリー・ビルボード」の基本情報
「スリー・ビルボード」の作品基本情報は次の通りです。
- 作品名:スリー・ビルボード
- 公開:2017年
- 監督:マーティン・マクドナー
- 脚本:マーティン・マクドナー
- 配給:20世紀フォックス映画
- 制作国:イギリス
- 時間:116分
「スリー・ビルボード」の主なキャスト
ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)
本作の主人公。夫とは別れ、娘と息子の2人の子供を育てるシングルマザー。
被害者が娘(アンジェラ)のレイプ殺人事件の捜査について警察を批判するため、3枚の看板(スリー・ビルボード)を出す。
数々の映画作品の出演する演技派女優で「あの頃ペニー・レインと」では、アカデミー助演女優賞、ゴールデングローブ賞・助演女優賞にノミネートされた。
なお本作ではアカデミー賞主演女優賞を受賞している。
ビル・ウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)
誠実で愚直な典型的ないい人な警察署長。町の住民からもたいへん慕われている。
ただレイプ殺人事件の犯人を逮捕できないせいで、主人公ミルドレッドから看板を使って大々的に批判をされる。
実は末期のすい臓がんであり、余命はあとわずか。
ジェイソン・ディクソン巡査(サム・ロックウェル)
ウィロビーの署長の部下であり、彼を心から慕っている。
元々は暴力的な人間であるが、今回の事件をきっかけにその内面が徐々に変わり始める。
アン・ウィロビー(アビー・コーニッシュ)
ビル・ウィロビー署長の妻。夫婦関係は非常によく、夫のことを愛している。
チャーリー(ジョン・ホークス)
ミルドレッドの元夫。現在は19歳の若い女性と付き合っている。
ジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)
ミルドレッドの友人で彼女に協力的。実は彼女のことが好き。
その他のキャスト
「スリー・ビルボード」のその他キャストは次の通りです。
- レッド・ウェルビー(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)…ミルドレッドが看板を依頼した広告屋の代表
- パメラ(ケリー・コンドン)…ミルドレッドが看板を依頼した広告屋のスタッフ
- ジェローム(ダレル・ブリット=ギブソン)…ミルドレッドが依頼した看板をつくった人
- ロビー・ヘイズ(ルーカス・ヘッジズ)…主人公・ミルドレッドの息子
- セドリック巡査部長(ジェリコ・イヴァネク)…ディクソン巡査の同僚
- アンジェラ・ヘイズ(キャスリン・ニュートン)…ミルドレッドの娘。本作の事件の被害者
映画「スリービルボード」ネタバレあらすじ【真犯人の考察あり】
1.主人公・ミルドレッドが依頼した3枚の看板
1-1.看板の依頼主は被害者の母親・ミルドレッド
【参照】『スリー・ビルボード』予告編
ミズーリ州の田舎町エビディング。
ブルーの作業服に、頭にはバンダナを巻いたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、警察署の前にある広告店へ入って行った。
若い店長レッドに「あの道にある3枚の看板にこれを…」そう言って、看板に書いて欲しいメモをレッドに渡した。
「アンジェラのお母さん?」レッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)がそう言うと、ミルドレッドはただ頷くだけだった。
1-2.文字だけの赤い看板
夜、パトロール中のディクソン巡査(サム・ロックウェル)は、3つ目の看板を見て慌てて車を止める。
「一体、何の看板だ!」仕事中の男に食って掛かる。男性が、指差した方を見ると、他の2枚の看板の下にも明かりが灯り作業中だ。
ディクソン巡査は車に戻り、2枚目、1枚目の看板を見る。作業している黒人男性を怒鳴り散らすが、彼からは軽蔑の言葉と足元につばを吐かれる。
ウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)に電話をすると、「感謝祭に電話をしてくるなと言っただろう!汚い言葉を使ってごめん」怒鳴られる。ウィロビーは、家族とディナー中だった。
翌日、ウィロビーとディクソンは広告店へ行き、レッドに依頼主は誰だ、と問いただすが、個人情報だとはぐらかされるが、「ミルドレッド・ヘイズだな?」。
ウィロビーも、エビディングで看板を見た人は分かっていたのだ。
- 「レイプされて死亡」
- 「犯人逮捕はまだ?」
- 「なぜ?ウィロビー署長」
3つの真っ赤な看板には、黒い文字でそう書かれていた。
2.看板をめぐって騒がしくなる田舎町の住民たち
2-1.ウィロビー署長とミルドレッドの対立
看板の前に立って、ローカルTVのインタビューを受けるミルドレッドは、エビディングの話題の顔になった。
ウィロビー署長はミルドレッド宅へ行き、犯人の証拠が見つからないこと、看板を下げるように願い出るが、彼女は首を立てには振らない。
「ガンで余命が短いんだ」ウィロビーの告白に、「町中の誰もが知っているわ。あなたが死んでからじゃ意味がないもの」とミルドレッドは答えた。
2-2.ディクソン巡査とミルドレッドの対立
警察署で唯一、ディクソン巡査に対して普通の人間として接してくれるウィロビー署長。
そんな彼を卑下したミルドレッドに対してを、ディクソン巡査はあの女を「偽りの罪を着せてでも逮捕したい」と思う日々を送っていた。
バーであの看板を許可したレッドに絡むも、「黒人撲滅に忙しそうだな」と馬鹿にされ、ビールを持ったミルドレッドも、母親と実家住まいのディクソン巡査をからうのだった。
2-3.市民とミルドレッドの対立
酔っ払って帰宅したミルドレッドは、食卓テーブルに座る息子ロビーの隣の神父に、看板を下げるよう諭される。
しかし、ミルドレッドは、神父に悪態をつき家から追い出す。
翌日、歯医者へ嘘の治療に行ったミルドレッドは、医者からやんわり看板を取り下げるよう言われ、揉み合いになると、医者の持っていたドリルで親指に穴を開けた。
そしてミルドレッドは、歯医者にツバを吐き出て行くのだった。
3.徐々にバラバラになるミルドレッドの家族
3-1.ミルドレッドへ怒りの感情を出す息子ロビー
「アンジェラが、どんな殺され方をしたか看板で知って、毎日それを見る息子のことを考えたことがあるのかよ!」
登下校を車で送り迎えする車の中で、息子ロビー(ルーカス・ヘッジズ)はミルドレッドに、黙っていた感情をぶつけ、帰宅すると部屋に籠もった。
3-2.娘・アンジェラのことを思い出し後悔するミルドレッド
娘・アンジェラ(キャスリン・ニュートン)の部屋をそのままにしているミルドレッド。思い出す、あの夜のケンカ。
アンジェラは、ミルドレッドに車を貸して欲しい、とねだっていた。「用事があるからダメよ」そう言うミルドレッドに食い下がらないアンジェラと口ケンカになった。
「あんな暗い道、レイプされたらどうするのよ!」
「アンタなんかレイプされればいいのよ!」
それが、アンジェラとの最後の会話だった。まさか自分の言ったことが現実になるなんて…。
3-3.19歳の彼女を連れてやってくるDV元夫チャーリー
朝食中、別れたDV夫・ャーリー(ジョン・ホークス)が家にやって来る。
看板の取り下げで言い争いになり、チャーリーはテーブルをひっくり返すと、ミルドレッドの首を締める。しかしチャーリーの背後には息子のロビーが首に包丁を立てていた。
そこへ車で待っていたチャーリーの彼女、ペネロープが入って来る。
「トイレ借りたいんだけど。今は無理そうね」
3人の緊張は妙な形で解れるも、哀しむチャーリーは帰り際、吐き捨てるように「アンジェラは、俺の所に来たがっていたが、ママの所にいろと言ったんだ」と帰って行くのだった。
さらに、打ちひしがれるミルドレッドだった。
4.爆発する感情と変化
4-1.ウィロビー署長の自殺
休日のウィロビーは、妻アン(アビー・コーニッシュ)と娘2人と川辺にピクニックに来ていた。
娘たちを、おままごとゲームで遊ばせ、アンとワインを持って、その場を離れる。帰宅したウィロビーは、娘たちを寝かしつける。
ワインに酔って横になっているアビーが「今日は、本当に気持ちいいセックスで、楽しかった」そう言って、まだ余韻に浸っている2人。
アンが当番のウィロビーがの愛馬の小屋掃除を買って出る。
愛馬を撫でたウィロビーは、ポケットから黒いニット帽を出し頭からすっぽり顔まで被ると、銃で頭を撃ち抜いて自殺する。
そのニット帽には「警察が来るまで、取るな」と紙に書いて貼ってあった。
4-2.ウィロビーの自殺を知ったディクソン巡査
署内で、アバをイヤホンで聞いているディクソンは、周りがバタついているのが分かっていない。
大きな音がして、やっと気が付くと、ウィロビー署長が自殺したと聞かされて失神する。
トイレでセドリック巡査部長((ジェリコ・イヴァネク))に抱きついて号泣するディクソンは、広告店へ歩いて行く。
ドアのガラスを割って階段を登っていくと、レッドは何か言いかけるも、ディクソンに警棒で殴られ、2階の窓から放り投げられた。
事務のパメラの顔面を殴って、1階へ降りていくと、外で苦しむレッドを殴り蹴り飛ばし、警察署に帰って行くが、新しい署長が目撃していて、クビになる。
4-3.陰湿化していく市民たち
広告のせいで自殺したと市民の怒りは沸点に到達する。
ミルドレッドの運転で、ロビーの学校へ行くと、車に飲み物を投げられる。
外に飛び出したミルドレッドは「あなたが缶を投げたの?」と聞き、首を横に振る男子生徒の膝を蹴り飛ばし、隣の女生徒にも足を蹴る。
見知らぬ男性客が、ミルドレッドが勤める土産屋にやって来る。彼は、ミルドレッドを挑発し、7ドルのうさぎの陶器を彼女の顔面スレスレに投げつける。
学校の帰り道、3つの看板が燃え盛っていた。ミルドレッドとロビーは消化に奮闘するが、「母さんまでいなくなったら、俺はどうしたらいいんだ」と叫ぶロビーの声で、燃える看板を2人で見ているのだった。
4-4.3通の手紙
アビーは銃声を聞き、起きるとダイニングテーブルに手紙を見つけ崩れ落ちる。
感謝の気持ち、看板のことでこうしたわけではなく、ガンが進行し自分は衰弱し、美しい妻が疲れ果てて看病することが、最後の思い出になるのが、嫌だったことを書き綴っていた。
土産屋でうさぎを投げつけられたミルドレッドは、来店のベルに救われる。
女性は、彼女に手紙を差し出すと、「夫が自殺した翌日に何をすればいいのか分からない」と言われる。
看板と自分の行為は関係ないこと、ミルドレッドが払えなくなっていた看板の料金を出していたこと、警察でもどうしようもない事件があることが書かれていた。
家の電話が鳴って、母親と話をしていたディクソンが受話器を取ると、セドリック巡査部長からだった。
ウィロビー署長から手紙があると知らされると、今から行くと言うが、ディクソンは警察署の鍵を持っているので夜来て欲しいことと、鍵を置いて行ってくれ、と言われる。
5.ミルドレッドの周囲の変化と事件の真相
5-1 ディクソン巡査の心の変化
手紙を読んでいたディクソンは、亡き署長からアンジェラの事件を任される。
「お前はいい警察官だ。キレてしまうのは欠点だが、警察官には、愛が必要だ」
広告店から、ミルドレッドが火炎瓶を作り、警察署に誰かいないか電話をしていた。しかし、ディクソンはイヤホンをして聞こえず手紙を読んでいた。
ミルドレッドが投げた火炎瓶により放火され出口を失った署内に気が付くディクソンは、アンジェラ事件のファイルを抱えて、火だるまになって飛び出して行く。
重度の火傷を負ったディクソンが運ばれた部屋には、自分が怪我を負わせたレッドがいた。全身、包帯だらけのディクソンにレッドは気が付かない。
泣きながら謝るディクソンに、何とも言えない表情をしてののしるミルドレッドは、オレンジジュースにストローを指し、ディクソンのテーブルにそっと置いた。
5-2.事件の真犯人はあの男
放火した時、道から出て来てディクソンを助けたジェームズは、ミルドレッドと口裏を合わせて「最近付き合い始めて2人で家にいた」と新署長に供述していた。
ジェームズは、それを口実にミルドレッドをデートに誘う。
レストランでディナーをしていると、チャーリーとペネロープが入店し、チャーリーはミルドレッドを一瞥する。ジェームズがトイレに立つと、チャーリーが座り、看板を燃やしたことをミルドレッドに告げた。
退院してバーで独りビールを飲んでいたディクソンは、テーブルの向こうに座る2人の男性の話が耳に入って来た。
1人は、ミルドレッドの土産屋に来てうさぎを投げた男。
自慢そうに9ヶ月前にレイプして焼き殺したことを、もう1人に話していた。
ディクソンは、外に出てバーの前に停まっている車のナンバーを見て、アンジェラ事件の犯人と確信する。ディクソンは、男を挑発し顔を爪で引っ掻くと、男に殴られ蹴られる。
ボロボロになって帰宅したディクソンを心配する母をよそに、洗面所の鏡の扉を開けて、爪に残った男性の皮膚を証拠として残し、ペンを走らせる。
5-3.真実と現実【真犯人を隠そうとする上層部】
ミルドレッド宅へ訪問したディクソンは、バーで会ったことを話し、間違いなく男性が犯人だ、と告げると、いがみ合っていた2人はもういなかった。
DNA鑑定で、新署長と会うディクソン。
「よくやった。しかし、DNA鑑定の結果は一致しなかった」
納得がいかないディクソンに、「アンジェラの事件が遭った当時、彼は国外にいた。国家機密なんだ」と言い、落胆させる。

新署長も上層部から圧力をかけられたのでしょう。
おそらく真犯人はこのバーにいた男です。
早朝、家でショットガンを持っているディクソン。
ミルドレッドに電話をし、期待をさせてしまいすまなかったと謝罪する。
犯人ではないにしろレイプ犯には間違いないし、車のナンバーからアイダホと分かっているから、今から俺はアイダホに行く、と伝えると、ミルドレッドも同意する。
ディクソンは母にそっと別れを告げ、ミルドレッド宅へ行く。
銃を積んで車に乗った2人はアイダホへ向かう。本当に殺す気なのか?
「それは、道中で決めればいい」
映画「スリービルボード」の感想
誰かの言葉で『人はこんなにも人は変われる』というのを、見事に表現し切ったディクソン巡査役のサム・ロックウェルには驚きました。
人の心情が変化する映画はいくつもありますが、ここまで真逆人間になれるほど、ウィロビーの死と手紙に突き動かされたのだと痛感しました。
また冒頭と回想シーンで見せたミルドレッドと、現在の彼女とは見た目が全く違います。今は娘の為に闘う戦士。
誰彼構わず怒っては傷付けるそんな様は、観ていると胸が痛くなりました。
彼女が心折れそうになるシーンよりも、罵ったり攻撃するミルドレッドが痛々しかったです。
田舎ならではの陰湿なイジメは生々しいものがありました。1人、2人と増えていくと力を増して陰湿さが過激になる様は、キツかったです。
重い暗いだけではなく、緊張感たっぷりのシーンでいきなり笑わされたり、セドリック巡査部長がディクソンに「マヌケと言われて、返事をするな!」と言ったセリフが出てくるタイミングなど、緊張と緩和の絶妙なバランスも最高。
唯一無二な傑作映画です。
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