『夜の来訪者（2015）』ネタバレあらすじと感想・考察、さらに無料動画の視聴方法をこちらでは紹介します。
ある経営者一族の娘の婚約パーティーの夜、会場に一人の警部が訪問する。彼の目的は、3時間前に自殺した女性についての事情聴取であった。
自殺した女性の名前は『エヴァ・スミス』、一族が経営する工場で2年前まで働いていた女性である。警部は彼女の自殺するまでの経緯について話し始める…。
物語の舞台は今から100年以上前のイギリスであるが、取り扱っているテーマは失業・格差社会・ワーキングプアと現在の日本と通じるものがあり、ストーリーにすんなり入れました。
作品に登場するエヴァ・スミスのように追い詰められて死を選ぶしかない人は、今の日本でも少なくありません。
100年以上前からあり続けるこれらの問題について、今を生きる僕たちがどう取り組むべきなのか？色々考えさせられる作品でした。
『夜の来訪者』作品情報とキャスト
作品情報
「夜の来訪者」の作品情報は次の通りです。
- 作品名：夜の来訪者
- 公開：2015
- 原作：J・B・プリーストリー
- 監督：アシュリング・ウォルシュ
- 配給：BBC
- 制作国：イギリス
- 時間：87分
- 年齢制限：無し
キャスト
「夜の来訪者」の主要キャストは次の通りです。
- 警部（デヴィッド・シューリス）
- 工場の元従業員エヴァ・スミス（ソフィー・ランドル）
- 上流階級の父（ケン・ストット）
- 母親（ミランダ・リチャードソン）
- 娘シーラ（クロエ・ピリー）
- 娘の婚約者ジェラルド（カイル・ソーラー）
- シーラの弟エリック（フィン・コール）
「夜の来訪者」ネタバレあらすじとラスト結末
1．シーラの婚約パーティ中にやってきた突然の来訪者
1900年代初頭のイギリス。縫製工場を経営する一族の屋敷で娘シーラ（クロエ・ピリー）の婚約パーティーが開かれる。
婚約者は一族の経営する工場の、ライバル会社の息子ジェラルド（カイル・ソーラー）である。
市長も務めた地元の名士の父（ケン・ストット）と、娘の婚約者ジェラルドと。息子エリック（フィン・コール）の3人で歓談中、見知らぬ警部を名乗る男が来訪する。
3時間前に自殺した若い女性について話を聞きたいという。
女性の名前は『エヴァ・スミス』。2年前に辞めた縫製工場の工員である。賃上げ交渉のためのストライキを先導したその女性工員だが失敗し解雇された。
その後エヴァ（ソフィー・ランドル）は2か月の失業ののち、運よく高級デパートで売り子として働き始める。
きれいな洋服に囲まれた楽しい仕事に熱心に働いたが、わずか1か月半後に顧客からのクレームが原因で解雇される。
クレームを入れたのは母親（ミランダ・リチャードソン）と買い物にやってきた一族の娘シーラであった…。
母親と洋服の趣味について衝突しその態度に恥をかかされイライラしたシーラは、試着した際のエヴァの表情に激怒し支配人にクレームをいれたのだ。
その結果エヴァはデパートを解雇される。
2．名前を変えたエヴァ・スミスが出会った相手は婚約者ジェラルド
数か月失業し食べるものにも困るエヴァは、生き方を変えるためデイジー・レントンと改名したと警部に教えられる。
その名前をきいた途端、娘シーラの婚約者であるジェラルドの顔色が変わる。
警部に問われエヴァとの出会いについて語りだすジェラルド。バーで酔った議員に絡まれていたところを助けたのである。
食事をとっておらず顔色の悪いエヴァに、おごるからと誘いレストランへ連れ出す。家賃が払えず家を追い出されそうになり、援助相手を探すバーに初めてきたという話だった。
その話を聞いたジェラルドは、海外から半年帰国しない友人の家を預かっているから、そこへ泊るようすすめる。
エヴァはジェラルドの申し出に涙を流して感謝する。その後に彼女と肉体関係をもち、友人の家にエヴァを囲うこととなる。
数か月関係は続いたが出張を機に、お金を渡して、ジェラルドとエヴァの関係はあっさり終わる。
話を聞き終えたシーラは、婚約指輪をはずしジェラルドに返し関係は終わりだと告げた。
3．エヴァのお腹にいたのは弟エリックの子供
警部は母親にエヴァの写真を見るようにすすめ、彼女を知っているかと尋ねる。
母親はエヴァを知っていた。母親が中心メンバーを務める苦境に陥った女性を助ける慈善婦人協会の支援申請に、ウソの経歴と偽名でエヴァが来ていたのだ。
エヴァは妊娠していた。つじつまの合わない話が多いことから議長を務める母親はエヴァの申請を却下する。後悔していないのかと警部に問われて、父親を探しだし公的な責任を取らせるべきだと怒る母親。
そこへ自殺した女性の写真をみせてほしいと申し出る息子のエリック。
実は息子（シーラの弟）のエリックもバーで知り合ったエヴァと彼女の家で肉体関係をもっていたのだ。
1か月前にエヴァから妊娠した事実を聴いたエリックは、エヴァに結婚を申し込んだが断られる。
会社から盗んだ金を渡していたが、盗んだ金だとエヴァに知られ距離をおかれる。
エヴァのお腹の子の父親がエリックだと知った母親は動転する。エヴァの死に際について尋ねるエリックに、大量服薬で苦悶の末に死んだと話す警部。
3．事情聴取にやってきた警部は偽物だった
君たちは彼女の死に加担した絶対に忘れるなと言い渡す警部。
彼女のように追い詰められた人たちはいまだに大勢いる。下層の人たちを救うのは、利己主義に走らない上流階級の考え方や発言や行動次第だと話し、そして警部は去る。
警部が帰った後、記録を取らずに帰るなど腑に落ちないことに気が付いた一族と婚約者が父親の知り合いの警察所長に電話をする。
先ほどの警部の名前を教えるがその名前の警部はいないといわれる。警部は偽物だったのだ。
そもそも自殺した女性が本当にいたのか疑い、病院へ電話をするが自殺者は一人もいないといわれる。ほっとする一族と婚約者。
ラスト結末．エヴァはまだ生きていたが…
今まさにエヴァは自殺をはかるため家からでかけようとしていた。それを見つめる警部。
薬を飲み自殺したエヴァは救命もむなしく息絶える。
そのそばに寄り添う警部が映るが、看護師やほかの人には見えていない。
歓談する屋敷に電話が鳴り響く。父親が出るとある女性が自殺し、警察がこれから事情聴取に来る伝えられる。罪が公になることがわかり、静まり返る部屋で物語は終わる。
「夜の来訪者」感想・考察
階級社会のイギリスで貧富の格差などが描かれた本作は、失業、ワーキングプア、非正規社員など格差が開く日本の今とも重なる映画です。
貧困にあえぐ労働階級の女性と、それを利用し、搾取する上流階級の名士の一族という構図。
資本家や権力者が利己主義に走り、自分たちのことしか考えず違う階級の人たちをないがしろにすることを戒める内容です。
利他主義が全体を救うから持っている人は傲慢にならずに、社会に所属する全員のことを考えようという話です。
ただ一族のすることが飛びぬけて特殊なことではなく、どこかであってもおかしくない身近にも思える内容なので人ごとにならず見ることができました。
罪を断罪にきたあの訪問者は一体何者だったのか？その点は最後まで謎のままです。
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