
『アナイアレイション 全滅領域』のネタバレあらすじと、感想・考察・評価を紹介します。
ラストの解釈について僕の考えもお伝えしました(ネタバレあり)。
軍の極秘ミッションに参加して行方不明になった夫。ある日、彼は妻レナの住む家に突然帰ってきた。
レナは嬉しさのあまり彼に抱き着くが、夫は終始無反応。明らかに以前までの夫とは違う人間がそこにいた…。
ナタリー・ポートマン主演のSF映画。中盤から後半にかけてやや不気味なシーンがあるので、グロ・怖い系の映像が苦手な方にはあまりオススメしません。
なおラストの解釈については意見は別れると思いますが、僕の考えは「感想・評価・考察」のパートで記載しているので、そちらをご覧ください。
賛否が別れる映画ですが、あまりにも美しい映像の雰囲気や世界観は個人的に好きです。今まで観たSF映画の映像でTOP5に入る美しさでした。
『アナイアレイション 全滅領域』作品情報とキャスト
作品情報
「アナイアレイション 全滅領域」の作品情報は次の通りです。
- 作品名:アナイアレイション 全滅領域
- 公開:2018年
- 原題:Annihilation
- 監督:アレックス・ガーランド
- 脚本:アレックス・ガーランド
- 制作国:イギリス・アメリカ合作
- 年齢制限:無し
- 時間:115分
キャスト
「アナイアレイション 全滅領域」の主要キャストは次の通りです。
- レナ(ナタリー・ポートマン)…元軍人。現在は生物学者
- ヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー)…心理学者
- ケイン(オスカー・アイザック)…レナの夫。軍人で極秘ミッションに参加して以降、行方不明になる
- アニャ・ソレンセン(ジーナ・ロドリゲス)…救急医療隊員
- ジェシー・ラデック(テッサ・トンプソン)…物理学者
- キャス・シェパード(ツヴァ・ノヴォトニー)…地形学者
「アナイアレイション 全滅領域」ネタバレあらすじとラスト結末
1.行方不明だった夫との再会
主人公レナ(ナタリー・ポートマン)は隔離された部屋で、様々な質問を受けている。防護服を着た男がレナにあれこれ尋ねるのを、他の人々もガラス越しに見守っていた。
数か月前。以前は軍人であった生物学者のレナは、大学で講義をしていた。軍人である夫のケイン(オスカー・アイザック)は極秘のミッションに参加し、それ以来行方不明となり帰ってこない。レナは希望を捨てず、毎日夫を待ち続けていた。
ある日レナが部屋の壁のペンキを塗り替えていると、ケインがスッと現れる。
レナは嬉しさのあまりケインに抱きつくが、ケインはどこか無感情で様子が変であった。レナはケインにどこにいたのか?何があったのか?などあれこれ尋ねるが、彼は記憶を失っているようでほとんど覚えていない。
その上食卓にあるコップの水を1口飲んだ途端、血を吐き出してしまった。
救急車で運ばれるケインにレナも同乗したが、突如謎の組織に囲まれ、レナはそのまま気を失った。
目覚めるとレナはエリアXの施設のベッドに横たわっていた。そこは病室というよりも研究施設のような空間で、心理学者のヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー)という女性の元で隔離されていたのだ。
レナはヴェントレスにケインはどこかと訊ねた。ヴェントレスの話からケインが昏睡状態にあると聞いたレナは、夫を助けたいので何があったのか知りたいと言う。
そこでヴェントレスは、レナを連れ出し施設内を案内した。しかしレナが施設の大きなガラス張りの窓から見た景色は、目を疑うようなものだった。
オーロラのような色で謎の物体が活動している。それは超自然現象であるとか、多次元世界であるとか様々な仮説が立てられた。ただ、現在のところ何も分かっていない。
3年前に突如ブラックウォーター国立公園の灯台が謎の光に包まれたのが始まりだった。
以後その場所は『シマー』と呼ばれ、機密で調査を行っているが、この地に派遣された人物の中に生還者はいないらしい。
境界はどんどん広がりを見せていると、ヴェントレスは語った。レナは夫のことを思い、生還者はゼロじゃないと言った。
2.女性5人の調査隊でのシマー探索
夜になり施設のテラスで景色を眺めるレナに、アニャ(ジーナ・ロドリゲス)という女性が声を掛ける。
またアニャは仲間の女性2人をレナに紹介した。地形学者のシェパード(ツヴァ・ノヴォトニー)と物理学者のジェシー(テッサ・トンプソン)である。アニャは救急隊員であった。
この3人は6日後、ヴェントレスを隊長にシマーへ調査しに行くのだと言う。
シマーの調査隊員だったケインが生きて戻ってきたという噂は、彼女らにも広まっていた。しかしレナは自分が彼の妻であることを話さなかった。またレナは、自分もこのミッションに参加する決意をする。
後日女性5人で結成された調査隊は、謎の区域シマーに踏み込む。まず皆が驚いたのは、境界を越えてから3~4日間の記憶が全くないことであった。
これも食料の減り具合から見るとおそらく3~4日間何かをして過ごしたのであろうという、推測でしかない。コンパスは使えず、外界との通信も不可能であった。
一同は、太陽の位置と時計を手掛かりに南の方向を探り、歩き出した。しばらく行くと古びた小屋があり、その周辺の植物のようすがおかしいことにレナが気付く。
レナは色々な花が咲いているように見えるが、株は1つしかないと言う。そんな時、突如ワニが現れてジェシーを襲うがレナがこれを銃で退治した。小屋でボートを見つけた5人は、それを使い川を渡る。
3.想像出来なかった恐ろしい光景
その後アマヤ要塞に辿り着いたので、その晩はここに泊まることにした。
中へ入るとボードに名前が書き込まれており、前回の調査隊がこの建物を利用していたと分かる。そこにはレナの夫ケインの名前もあった。さらに次の調査隊へ残したメモリカードもある。
そこでジェシーがこれを再生すると、ケインが仲間のお腹をナイフで切る動画が流れる。
恐ろしいことに、隊員のお腹の中ではヘビのような生き物がうごめいていた。これを見た皆は、非常に混乱した。
その後5人は、腹を裂かれた隊員と大木が合体した様な不気味な物体を見つけてしまう。深夜、ヴェントレスはレナと2人きりになった時、レナとケインが夫婦関係であることを皆に隠しておいて正解だったと言った。
その後巨大なクマのような生き物が現れ、シェパードを襲った。これによりアニャとジェシーは、もう引き返した方が良いと言い出した。
しかしヴェントレスは、自分1人でも目的地の灯台を目指すと言う。レナはここで引き返すより目的地の灯台を目指し、その後反対側から出た方が短日数で済む」と主張し、2人を説得した。しかしアニャは、ストレスから相当追つめられている様子である。
翌日辿り着いた廃虚の村には、人型をした植物が生い茂っていた。ジェシーは、シマーでは動物や植物全てのDNAを反射するからこのような現象が起こるのだと言う。
その晩アニャはレナのロケットペンダントをこっそり外し、中を覗き見してしまう。ペンダントの写真があの動画のケインだと知ると驚愕し、嘘をつかれていたことに腹を立てる。
そしてレナをはじめ、他の2人も椅子に縛り付け拘束した。アニャは刃物を持っていて3人を傷つけようとしたが、その時遠くからシェパードの声がした。
そこでアニャはシェパードを助けに行くが、それは彼女ではなく先程のクマのような生き物だった。その生物は、シェパードの声を取り込んでいたのだ。アニャはその化け物に惨殺され、ジェシーがその後化け物を退治する。
ラスト結末.あなたはケインじゃない?
ヴェントレスは体や心のタイムリミットを感じ、暗い内から1人で灯台へ出発した。
翌日体の一部から植物が生えはじめていたジェシーは、静かに姿を消した。レナはヴェントレスを追って灯台を目指す。
仲間を失ったレナは泣きながら、海岸の方へ向って歩いた。海沿いの砂浜には、氷で出来た樹のようなキラキラした不思議な生命体がたくさんそびえ立っていた。
灯台に辿り着いたレナが中へ入ると、ミイラのような死体があり驚かされる。その正面にはビデオカメラを発見するが、再生してみるとそれは精神的に衰退したケインが自爆する動画であった。
その際、爆発した途端もう1人のケインがカメラに映るのも目撃する。ビデオの中のケインは、自分が人間なのかどうかもう分からないと言っていた。
目の前の死体がケインだとすれば、帰還したケインはクローンである可能性も考えられる。レナは大きなショックを受けるが、目の前にポッコリと開いた穴の中に入って行った。
穴の中を進んでいくと、再びヴェントレスに出会った。ヴェントレスは突然口から光線を吐き出し、燃えるようにしながら徐々に球体へと変化していった。そこにほんの僅かなレナの血液が混ざったため、今度は人型に変形した。
レナはその物体を恐れ逃げるが、それは意思を持って攻撃してくるわけでもなく、ただ単にレナに付きまとい模倣した。
そこでレナが白リン弾をその物体に持たせると、物体はレナとそっくりの人となる。レナは急いで白リン弾のピンを引き灯台の外へ逃げ、灯台が燃えていくのを唖然として見ていた。
以上がレナのシマーでの体験だった。
防護服を着た男は、さきほど新しい部隊が灯台に到着しそこらじゅう灰になっているのを確認したと言う。
シマーが消えたことで、ケインの意識も回復した。レナはケインの病室へ行き、「あなたはケインじゃない、そうよね?」と訊ねる。
ケインは「そうだ」と答え、「君はレナか?」と聞いた。何も答えないレナをケインは抱きしめる。
「アナイアレイション 全滅領域」感想・考察・評価【ラストの解釈】
2018年に公開された本作品は、2014年に発表されたジェフ・ヴァンダミアのSF小説『全滅領域』を元に製作されています。
脚本、監督を務めたのは『エクス・マキナ』などで知られるアレックス・ガーランド。劇中では、エリアXが徐々に謎の現象であるシマーに侵食される恐怖が描かれています。
タイトルにもなっているアナイアレイションは全滅や崩壊という意味ですが、この映画で描かれる脅威は、通常のディザスタームービー(災害映画やパニック映画のこと)のようなはっきりとしたものではありません。
例えば劇中に登場する「ツノが木の枝と一体化した鹿」などは、ある意味美しさすら感じられます。しかしその反面、動物や植物が勝手に独自進化をする様は、非常に不気味です。
さらに物語中盤ではショッキングなホラー展開が待ち受けており、その後徐々に隊員達の心や体を侵食していきました。
それらの点から本作は理解不能な存在に遭遇した時の恐怖体験を、存分に味わえる作品と言っても良いでしょう。
またレナの左腕のタトゥや2人の夫婦関係のエピソードなどから「破滅と再生」をテーマとした作品、という観点で鑑賞を楽しむこともできます。
なおラストの解釈についてですが、「あなたはケインじゃない、そうよね?」とケインもことを想い質問している点から、レナの中身はレナのまま(体はクローン)だと僕は理解しました。

なお本作は「Netflix(ネットフリックス)」で配信中です。
「Netflix」のレビュー・評価や他のVODサービスとの比較については次の記事をご参照ください。


