
『バードボックス』のネタバレあらすじと、感想・考察・評価を紹介します。
『バードボックス』作品情報とキャスト
作品情報
「バードボックス」の作品情報は次の通りです。
- 作品名:バード・ボックス
- 制作:2018年
- 原題:Bird Box
- 監督:スサンネ・ビア
- 脚本:エリック・ハイセラー
- 配信:Netflix
- 制作国:アメリカ
- 年齢制限:無し
- 時間:124分
キャスト
「バードボックス」の主要キャストは次の通りです。
- マロリー(サンドラ・ブロック)
- トム(トレヴァンテ・ローズ)
- ガール(ヴィヴィアン・ライラ・ブレア)
- ボーイ(ジュリアン・エドワーズ)
- ダグラス(ジョン・マルコヴィッチ)
- ジェシカ(サラ・ポールソン)
- シェリル(ジャッキー・ウィーヴァー)
- チャーリー(リル・レル・ハウリー)
- ゲイリー(トム・ホランダー)
- グレッグ(B・D・ウォン)
- リック(プルイット・テイラー・ヴィンス)
- ラファム医師(パーミンダ・ナーグラ)
「バードボックス」ネタバレあらすじとラスト結末
1.平穏だった街が一気に荒れ狂う
マロリー(サンドラ・ブロック)は、幼い子供2人にこれから厳しい旅に出ると言い聞かせる。
彼女は「目隠しは絶対に外さないこと」と言った。子供は男の子と女の子が1人ずつ、名はボーイとガールだ。子供らはマロリーの指示に従い、目隠しをしたままボートに乗り込んだ。3人はこれから、この状態で川を下るのである。
その5年前、画家のマロリーは外に出かけもせず絵ばかり描き続けていた。妹のジェシカ(サラ・ポールソン)はテレビをつけ、今世界各地で起こっている原因不明の集団自殺事件をマロリーに知らせる。
マロリーは、妊娠していたが結婚している様子もない。その後姉妹は産婦人科へ行くが、マロリーは子供を出産することがあまり嬉しそうではなかった。医師のラッファム(パーミンダ・ナーグラ)は、産んだ子供を養子に出すこともできると言う。
マロリーのお腹は大きく、出産まであともう少しだった。産婦人科を後にした姉妹は、ジェシカの運転で車を走らせていたが街の様子がおかしい。大半の車が運転マナーを守っておらず、赤信号で突進したり、他の車目がけて突っ込んだりしていた。
ジェシカはパニックに陥るが、冷静さを保とうと努める。しかしそんなジェシカも急に乱暴で、危険な運転を始めた。彼女は運転中前方の何かを見ておかしくなったようだが、それが何なのかマロリーには分からない。
ジェシカは停車中の車に突進し車が横転した後、降りたところを横から来たトラックに轢かれ即死した。
街は大パニックとなっており、マロリーも訳が分からないまま群衆らと共に逃げる。妊婦であったマロリーはトム(トレヴァンテ・ローズ)に助けられ、ダグラス(ジョン・マルコヴィッチ)という初老の男が仕切る家に避難した。
ここの家主はアジア系男性のグレッグで、既に老女や若者などが避難している。一同はテレビのニュースを見ていたが、それも途絶えてしまった。
その後、皆がおのおのが見てきた情報を交換した結果、何かに感染した人物は自害行為に走るということが分かる。
マロリーが妹を失った悲しみをトムに告げていると、ダグラスが会話に加わってきた。彼には妻がいたが、先ほど妊婦のマロリーを助けようと家から飛び出したため、死亡したのだと言う。ダグラスは、変わり者で気難しい性格であった。
2.「何か」を見た者が発狂する事件
現在。川下りを始めてから、6時間が経過していた。マロリーは3人を大きな毛布で覆い、その中でカゴの中の鳥が生きているかを確認する。彼女は再び5年前を思い出した。
グレッグ宅に避難してから、3日が経っていた。テレビのニュースでは「外出は危険、屋内に滞在し彼らを見ない限り安全だ」と放送される。
その時、外部から何者かがドアをノックした。一同は困惑するがおそるおそるドアを開ける。するとオリンピアという女性が目隠しをして立っており、皆は彼女を保護することにした。オリンピアは妊婦であり、出産予定日もマロリーと近いのだ。
その後家主であるグレッグ(B・D・ウォン)は、動画で「彼ら」を確認しようとしたが失敗し自殺してしまう。また、食糧も残り少なくなっていた。そこで、チャーリー(リル・レル・ハウリー)の提案でスーパーマーケットへ調達に行くことにする。
スーパーに勤務していたチャーリーやマロリー、トム、他2名が調達班となった。
5人は目的地まで車で行く前に、ガレージで車の全てのガラス面にペンキを塗る。ナビゲーションだけを頼りにトムが運転するが、それは想像以上に恐ろしいドライブとなった。
表には先日の騒動で亡くなった人の死体や、故障した車などがごろごろと転がっていたからだ。何かにぶつかりながら、手探りの運転で何とかスーパーまで辿り着いた5人は車内で目隠しをし、店の中へ入る。
店内が安全だと分かった5人は、ホッとして目隠しを外した。店にはたくさんの食品や酒が残っており、5人はそれらをカートに詰め込む。
マロリーはそこでカゴに入ったインコを見つけ、これを持ち帰ることにした。残念ながらチャーリーは、仕事仲間を助けようとして死亡する。残された4人は、酷く落ち込むが何とか帰宅した。
帰宅すると待機していた皆が、調達品を見てホッとした。マロリーは皆にインコを見せ、この鳥は危険を察知すると言う。
夜中、ダグラスとマロリーは調達した酒を酌み交わしていると、ガレージからエンジンをかける音がした。若者男女が車を奪い、逃走したのだ。
一方マロリーとトムは次第に親密な関係になっていった。トムは他者に親切で思いやりがあり、安心できる人物である。
そんな折この家に、新たな生存者ゲイリー(トム・ホランダー)が訪ねてきた。危険を察知した一同は一時的に警戒するが、ゲイリーが道中のいきさつを話すと気を許した。
ゲイリーは同僚の家に避難していたが「心に闇を抱えた者」達に侵入され目を開けろと強制されたため、逃げてきたのだと言う。
ゲイリーの話から、一部の人間は「見てはいけない何か」の手下であり、彼らは目隠しをせず外を出歩いても平気なのだと分かった。
しかしダグラスだけは「部外者を受け入れる度死者が出る」と言い、彼に銃を向ける。そこで老女がダグラスの頭を花瓶で殴り気絶させ、ガレージに隔離した。
3.新しい命
深夜マロリーとオリンピアは寝室で話をする。オリンピアは「もしも自分に何かあったら子供をお願い」とマロリーに頼む。
一方ゲイリーはすぐに皆と打ち解けた。居間で皆が音楽を聴きリラックスしていると、オリンピアが産気づいてしまう。またマロリーも破水し、それにトムが気付いた。
2階の部屋へ移った妊婦2人は老女やトムの助けで無事赤ん坊を出産する。マロリーの子は男の子、オリンピアの子は女の子であった。室内はブラインドや新聞紙などで、窓が塞がれている。
しかしその頃、まともな人物であったはずのゲイリーの挙動がおかしくなり、2階にやってきていきなりブラインドを上げ始めた。これにより外の何かを見てしまったオリンピアは、無残にも2階の窓を突き破り、飛び降り自殺をしてしまう。
さらに老女もハサミで自分の首を刺し、自殺した。ゲイリーこそが、心に闇を抱えた者だったのだ。
マロリーは生まれたての赤ん坊2人と共に、シーツの中に潜り込み震えていた。そこへ隔離されていたダグラスが現れ、ゲイリーと揉み合いになる。
ダグラスはゲイリーに刺され死亡するが、マロリーや赤ん坊を守ることができた。その後、トムがゲイリーを射殺する。シーツの中で怯えるマロリーをトムは抱きしめた。大勢いた仲間が、一気に死亡してしまったのだ。
それから5年が経った。トムとマロリーは大自然の中で赤ん坊を育て、子供も成長した。
ある日、無線にリック(プルイット・テイラー・ヴィンス)という名の男から連絡が入る。リックからの情報では、「自分が居る施設は食料もあり住民もいるので安心」ということだった。しかし、施設に向かうには川を下っていくしか方法がない。
マロリーはこれに反対だが、トムはここに行くべきだと言う。後日4人が空き家に入り食料を調達していると、「心に闇を抱えた者」の集団がやってきた。
トムはお守りのペンダントをマロリーに渡し、囮となって外へ飛び出す。トムは別れ際に、自分が戻らなかったら川を下れと言った。その後トムは連中と撃ち合いになり、自分は何かを見てしまったと気付いたため自殺した。
ラスト結末.トムの判断を信じて
深夜になってもトムが戻らないので、マロリーは声を殺して泣いた。こうして、彼女は子供2人を連れ、無謀な川下りをすることとなったのである。
川下りを開始してから丸2日が経過し、川の流れは速くなっていた。これまでもボーイがボートから転落したり、毛布が無くなったりと色々問題が多発したが、マロリーは何とかこれを解決してきた。
しかしこれから超える急流は一番の難関であり、監視人も必要である。ボートを漕いでいるマロリーが目隠しを取れば最悪の場合3人が全滅してしまうため、どちらかの子供が監視をしなければならなかった。
しかしマロリーは結局どちらかを選ぶことができず、3人とも目隠しをしたまま急流を下る。その後案の定水流にのまれ、あっという間にボートは転覆した。3人は互いの声やベルの音を頼りに、再度合流し岸に上がる。
遠くから鳥の鳴き声がした。以前リックが鳥の鳴き声のする方に向かうように言っていたのを思い出したマロリーは、その方向へ向かう。
しかし道中、ガールはマロリーを怖がるようになった。常に緊張モードで、怒り過ぎたからだ。過去5年の間でも、常に子供に愛情を注いでいるのはトムの方であった。
彼女は、ガールに対して厳し過ぎたことを謝罪し和解する。その後建物を見つけたマロリーは、玄関の扉を必死で叩いた。
中にはリックらがおり、3人は歓迎された。施設とは盲学校のことだったのだ。
目の不自由な子供らは施設内の広場で、「何か」を見ることもなく安全に暮らしていた。たくさんの鳥のいるその場所で、マロリーは自分のインコも放す。
そして驚いたことに、そこで産婦人科医のラッファムと再会した。ラッファムに名前を聞かれたことをきっかけに、マロリーはボーイをトム、ガールをオリンピアと命名した。
「バードボックス」感想・評価・考察
本作品は2018年に配信されたNetflixオリジナル映画です。スサンネ・ビア監督によって製作されたこの映画は、配信開始後わずか1週間で4,500万回も再生されたことで話題となっています。
見たら死ぬという衝撃的なホラー描写が、この映画の最大の特徴です。
また見てはいけない「何か」をはっきり言葉で確認できないので、とにかく見ないようにするしかない!という設定には、ある種の居心地の悪さが感じられます。
さらに全体的な筋書きを通して観ると、他者との関わりを避けていた主人公の成長を描く感動のドラマでもあります。
またグレッグ宅での籠城戦やそれにまつわる群集劇など見どころも満載で、ポストアポカリプス作品(終末モノ)ではお約束の食料調達シーンにも創意工夫が見られました。
この作品では「何か」を見ないように心がけるサバイバルチーム以外に、「心に闇を抱えた者」が登場します。
彼らは目隠しをせず外を歩いても平気です。スーパーマーケットでチャーリーを襲った同僚や、ゲーリーなどがその部類の人物。避難者たちは皆「何か」を見まいと必死ですが、ゲイリー達は恐ろしい「何か」を崇拝しているようにすら見えました。
劇中では、トムをはじめ大半の人物がこの「心に闇を抱えた者」からの被害で死亡します。
悪魔の手下が避難者達に紛れている恐怖、そしてこれらの人物が一体何を意味しているのか?などが本作の裏テーマなのかも知れません。
冒頭からハラハラドキドキの展開が続き四六時中緊張感が伴う作品ですが、結末は一筋の希望と安堵感をもたらしてくれる穏やかな着地でそこはホッとしました。


