
映画『cargo(カーゴ)』のネタバレあらすじと、感想・考察・評価を紹介します。
『cargo(カーゴ)』作品情報とキャスト
作品情報
参考記事cargo公式予告
「cargo(カーゴ)」の作品情報は次の通りです。
- 作品名:cargo(カーゴ)
- 制作:2018年
- 原題:Cargo
- 監督:ヨランダ・ラムケ、ベン・ハウリング
- 脚本:ヨランダ・ラムケ
- 配信:Netflix
- 制作国:オーストラリア
- 年齢制限:無し
- 時間:104分
キャスト
「cargo(カーゴ)」の主要キャストは次の通りです。
- マーティン・フリーマン
- アンソニー・ヘイズ
- スージー・ポーター
- カレン・ピストリウス
- デイビット・ガルピリル
「カーゴ」ネタバレあらすじとラスト結末
1.船上の生活から陸地へ
アンディとその妻ケイは、ボートの上で生活をしていた。ボートはイカダの上に家が乗せられた屋形船のような形状である。夫妻にはまだ赤ん坊の娘、ロージーがいた。
オーストラリアでは未知のウィルスが蔓延したため人口は4分の1まで減り、夫妻は船の上の生活を余儀なくされたのだ。
ゾンビに噛まれ感染した者は、わずか48時間でゾンビ化してしまう。
川には、政府が配布したと思われるウィルス対策のキッドが流れてきた。アンディらがそれを拾い中を確認すると、48時間のタイムリミットを知らせるデジタル時計などが入っていた。
食糧はあと3、4回分ぐらいしかなかった。ケイは陸に上がれば生存者もいるだろうし食糧も調達できると言うが、アンディはその意見に反対であった。確かに陸地には生存者もいるが、ゾンビに遭遇するリスクも大きい。
その後アンディは無人のヨットを見つけたので、そのヨットに侵入し食べ物を調達した。これで3カ月は暮らせると喜ぶアンディ。
その後アンディのヒゲを気にしていたケイも、ヨットに剃刀を調達しに行く。アンディは気が付かなかったが、そのヨットにはゾンビがいた。ケイはゾンビに遭遇し足を噛まれてしまう。
アンディはケイを村の病院に連れて行くため、岸に上がった。アンディは乗り捨てられた車を見つけ、家族を乗せ走らせる。
しかし残念ながら、ケイは病院に辿り着く前に発病した。
その上ゾンビが道の真ん中に立っていたため、それを避けようとして車が大木に衝突してしまう。アンディがケイを見ると、彼女には木の枝が突き刺さっていた。ケイは自分に人間の心がある内に「ロージーを守って」というメッセージを血で書き残した。
2.ゾンビを匿う少女
更にアンディは、発病しゾンビの顔つきとなったケイに噛まれてしまう。タイムリミットは48時間。
ロージーを不安にさせないために、ケイが使っていた香水を自分に振りかけるアンディ。またアンディはケイの時計を身に着けた。自分が発病する前にロージーを誰かに預けなければならないと悟ったアンディは、ロージーを背負って歩き出す。
先程道のど真ん中にいたゾンビは、トゥミという女の子の父親だった。アンディはこのゾンビに怒りを覚えるが、トゥミは父に何もしないで!と言う。
トゥミはゾンビ化した父親を匿い、内緒で生かしていたのだ。
アンディはだだっ広い(平野)をただひたすら歩き、遂に病院へ到着した。そこでは元学校の教師であったエッタという女性に出会う。
エッタは気休め程度ではあったが、可能な限りの手当てをしてくれた。エッタが話すには、この国に住むある部族がこの土地に集合しはじめているとの事だ。翌朝エッタは、部族のトゥミとその父親の写真を見せる。エッタはこの人達は良い人なので、訪ねて行くと良いと教えてくれた。
病院を後に、従来の目的地であった軍事基地を目指すアンディ。道中ではヴィックと出会い、彼の家に案内してもらう。ヴィックは、若くて美しい女性レイニーと同居していた。しかしヴィックは利己的な男のようで、レイニーは彼に冷たかった。
その後、ヴィックはアンディをゾンビ狩りに連れて行く。檻の中に生きた人間を入れ、ゾンビをおびき寄せるのだ。ヴィックはゾンビらを遠くから射撃し、倒れたゾンビの貴金属を奪った。
3.残酷なヴィック
檻の中に入れられていたのは、先日出会った部族の少女トゥミである。アンディはこの残酷な行いに一時的に反論するが、ロージーを守ることを考えぐっとこらえる。
一方ロージーの世話をしていたレイニーは、ゾンビが出す樹脂のような体液が赤ん坊に付いていたため、アンディが感染者なのだと分かった。
夜になり、外に出て自殺を図ろうとするアンディ。しかし、レイニーがそれを発見し引き止める。またレイニーは、この家から逃亡しないかと提案した。ヴィックはレイニーをさも自分の妻のように扱うが、彼はレイニーの夫ではなかった。
レイニーの愛する夫やその仲間は、ヴィックから見殺しにされたのだ。
2人がそんな話をしていると突如ヴィックが現れ、アンディは殴られ気絶する。気が付いた時、アンディはトゥミと同じ檻の中に入れられ互いの手首を鎖で繋がれていた。
そこでアンディは複数のゾンビの力を利用して、ケージの扉を開けさせトゥミと共に檻から脱出する。繋がれたままの2人はディック宅に戻り、レイニー、ロージーを連れだした。
しかし家を出たところで、一同はヴィックに見つかってしまう。カッとなったヴィックが無闇に発砲したせいで、皆を庇おうとしたレイニーに弾が当たり倒れた。逃亡したアンディらは洞窟に身を隠し、先程ヴィック宅で盗んだ鍵で互いの腕の鎖を外した。
ラスト結末.役目を果たそうとするアンディ
翌日トゥミは、自分が留守の間にゾンビ化した父親が完全に死んだと知り失望するが、結局は赤ん坊を守る決意を固める。その後、トゥミの提案からアンディらはボートで川を下った。
そこでは、トレーラーハウスに住む家族に出会う。アンディはその家族の父親にロージーの世話を頼もうと思ったが、その男もアンディと同じく感染していた。トゥミは、母親をはじめとする家族の元へ帰ると言い、アンディに一緒に来るかと訊ねた。
トゥミはもしもアンディが死んだら、家族と共にロージーの面倒をみてくれるつもりなのだ。
しばらく行くとトンネルがあり、中ではたくさんのゾンビが冬眠していた。しかし3人があともう少しでトンネルを抜けるという時、再びヴィックに遭遇してしまう。
ヴィックはレイニーを失った憎しみから、ロージーまでも殺そうとした。アンディは何とかロージーを取り戻すが、ヴィックはただ泣き続け反逆する元気はない。
トンネルを抜けたアンディ、トゥミはロージーを背負い再び歩き出す。しかし、ゾンビとなるタイムリミットが迫ったアンディは、2人から離れ気持ちを落ち着けた。
アンディが何より恐れているのは、自分がゾンビ化した際に赤ん坊やトゥミに襲い掛かってしまうことだ。
そこでアンディは木の枝に内臓を括り付け、それを自分の目の前に吊るすことを思いつく。こうすれば、周囲に襲い掛かることもなく、前方に向かって歩き続けることが可能だと思ったからだ。マウスキャップを咥えたアンディは、ひたすら前へ歩き続けた。
トゥミを探し続けていた部族の元に、ロージーとトゥミを背負いフラフラになったアンディが辿り着く。トゥミの母親は、娘をしっかりと抱きしめた。
アンディが部族の長老者に殺される直前、トゥミはケイの愛用していた香水の香りをアンディに嗅がせる。
部族から歓迎された赤ん坊ロージーのお腹には、「ありがとう」というアンディからのメッセージが残されていた。
「カーゴ」感想・評価・考察【YouTubeのショートムービーが題材】
本作品は、2013年にYOUTUBEで公開されたわずか7分間のショートムービーを元に製作されました。
そのゾンビショートムービーがこちら(↓)の「CARGO(ベビーカー)」です。
オーストラリアを舞台にしたゾンビ映画ですが、ハチャメチャな終末世界を描いた刺激的な作品とは、少し趣が違っています。
この映画では「赤ん坊を如何に安全な場所に届けるか」に焦点が当てられており、しんみりとした泣けるホラーとして鑑賞できるでしょう。ラストシーンでアンディは死んでしまいますが、赤ん坊のお腹に書かれたメッセージが一筋の希望をもたらしてくれます。
劇中には、善人であることを諦めない父親アンディやゾンビ化した親族をいつまでも匿うトゥミなど、繊細な感情を持った人物が多く登場しました。そうであるがゆえ、終末世界の恐ろしさがより生々しく感じられます。
またこれらのキャラクターとは対照的に、どこまでも身勝手な人物ヴィックも登場します。ヴィックを見れば、緊急時に人間が起こす二次災害の恐ろしさが分かるでしょう。
妻ケイが死んだ直接的な原因は、トゥミの父親が道路の真ん中に立っていた事でした。またトゥミにとってのアンディは、自分が1人で檻の中に入れられているのに助けてくれなかった人物でもあります。
それぞれの思いはあるにせよ、これらを互いが許し合い生き延びていく姿には心を打たれます。
また冒頭にほんの少し登場するトレーラーハウスに住む家族が、ストーリーの後半に再度登場するなど、細かい部分でも人と人の繋がりが丁寧に描かれており、シナリオも秀逸です。