
映画『ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー』のネタバレあらすじと、感想・考察・評価を紹介します。
『ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー』作品情報とキャスト
作品情報
「ベルベット・バズソー」の作品情報は次の通りです。
- 作品名:ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー
- 制作:2019年
- 原題:Velvet Buzzsaw
- 監督:ダン・ギルロイ
- 脚本:ダン・ギルロイ
- 配信:Netflix
- 制作国:アメリカ
- 年齢制限:無し
- 時間:112分
キャスト
「ベルベット・バズソー」の主要キャストは次の通りです。
- モーフ・ヴァンデウォルト(ジェイク・ジレンホール)
- ロドラ・ヘイズ(レネ・ルッソ)
- グレッチェン(トニ・コレット)
- ジョセフィーナ(ゾウイ・アシュトン)
- ジョン・ドンドン(トム・スターリッジ)
- ココ (ナタリア・ダイアー)
- ピアース(ジョン・マルコヴィッチ)
「ベルベット・バズソー」ネタバレあらすじとラスト結末
1.老人が残した絵
モーフ(ジェイク・ギレンホール)は辛口で有名な美術評論家。彼のコメントひとつで巨額マネーが動く、アート界では名の知れた存在だ。最近付き合い始めたジョセフィーヌ(ゾウイ・アシュトン)にすっかり入れ込んでいる。
ジョセフィーヌはやり手の美術商ロドラ(レネ・ルッソ)の見習いで、この業界で成功することを夢見る野心家だ。
ある日ジョセフィーヌは同じアパートで亡くなった老人の部屋で、彼が描き残した大量の傑作絵画を発見する。
死後に全て破棄して欲しいという老人の遺言を無視したジョセフィーヌはモーフと結託し、さらに話を聞きつけたロドラも乗っかってこれらの絵を売り出すことにする。
2.老人の過去
老人の名はヴェトリル・ディーズと判明。その人生は壮絶だった。幼少期に火事で母と妹を亡くした後、父からの虐待を受け孤児院に入所。
18歳で徴兵され精神を病み、除隊後に父を探し出して生きたまま焼き殺した。その後に入った病院で20年間も人体実験に利用され、解放されて退役軍人病院で42年間働いた後は、一人家にこもって絵を描き続けていた。
モーフらはディーズの過去について大方調べ上げていたものの殺人や人体実験のことまでは知らず、満を持して絵を公開。それらは高額にも関わらず次々と買い手が付いていった。
3.死の連鎖が始まる
絵の希少価値を高めようと半数を隠しておくことにしたロドラの指示で、従業員のブライソンはディーズの絵を積んだトラックを走らせていたが、こっそり拝借した絵から突然火が出てパニックに。
駆け込んだ廃墟の壁面にディーズの絵が出現し、ブライソンは絵の中に引きずり込まれて失踪してしまう。
一方、ロドラのライバル美術商ジョン・ドンドン(トム・スターリッジ)はディーズの殺人の事実を掴み、絵の評判を落とすべく明日にも公表しようと計画していた。
すると突然事務所の天井から不気味な手が現れ、スカーフを掴まれたジョンは翌日首を吊った状態で発見される。
別の場所でも奇怪な現象は続く。最近独立して絵のアドバイザーとなったグレッチェン(トニ・コレット)がギャラリーに展示された球体のオブジェの穴に腕を入れたところ、腕を切断され失血死したのだ。
グレッチェンはディーズ作品を所有する顧客の税金対策のためにディーズ展を強引に企画し、その初日を明日に控えていた。
4.ディーズの絵の秘密
ディーズの絵の分析結果から、絵には本人のものと思われる血が塗り込められていたことが判明。
遺言のことも知ったモーフは、これまでの不可解な出来事や最近悩まされている幻覚と幻聴も全てディーズの怨念に違いないと狼狽しロドラに絵の販売を止めるよう求めたが、ロドラは応じてくれない。
そして次の魔の手はジョセフィーヌに迫っていた。彼女が立っていた路上に突然ギャラリーが出現し足を踏み入ると、そこに飾られた絵から流れ
だした絵の具が彼女の体を支配し、彼女もまた行方不明となる。
モーフはロドラのギャラリーの元受付ココ(ナタリア・ダイアー)の手を借りてディーズの絵を一刻も早く封印しようと倉庫に運び入れるが、そこにロボットが現れモーフに襲いかかる。
かつて自身が酷評した作品「ホームレス・マン」だ。そしてモーフもディーズの呪いの犠牲となってしまう。
ついに焦ったロドラは自宅の美術品をすべて手放し死の連鎖から逃れようとあがいたが時すでに遅し。
「ベルベット・バズソー」と書かれた首のタトゥーが彼女を攻撃し、やはり死ぬ運命を逃れられなかった。「ベルベット・バズソー」とは、かつて情熱を注いだ自身のパンクバンドの名前だった。
ラスト結末.残された人たち
路上では、ブライソンのトラックから持ち去ったディーズの絵を売る浮浪者の姿があった。その値段はたったの5ドル。それを横目にココはこの町を去るのだった。
遠く離れた海岸ではピアース(ジョン・マルコヴィッチ)という画家が浜辺で砂に絵を描いていた。スランプに陥り、ロドラから療養を勧められていた初老画家だ。
ピアースは、波にかき消されても気にすることなく無心で絵を描き続けていた。
「ベルベット・バズソー」感想・評価・考察【アート業界に異を唱えた映画】
芸術性より利益が優先される商業主義のアート業界に異を唱えた本作。
「ナイトクローラー」「ローマンという名の男-信念の行方-」に続くダン・ギルロイ監督の3作目で、これらの過去2作も同じように金銭のために信念や倫理観を捨てた主人公の姿を描いていて、こういった暴走に対するギルロイ監督の一貫した主張が覗えます。
商業化が加速する近年のオリンピックビジネスと重なるのは私だけでしょうか。ギルロイさん、次のテーマにどうですか?(笑)
本作はこういったまじめな問題定義とは裏腹に途中からオカルト要素が満載なうえ、老人の過去を辿る映像も底気味悪く、ホラーとしてのスリルも見物です。
あと舞台がアート業界ということで、登場人物の服装がとにかくいちいちオシャレ!
脇役にいたるまでみんな洗練されていて、ワンシーン、ワンシーン、まさにファッション雑誌をめくる感覚で最後まで楽しませてくれます。